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将棋局面|羽生善治vs大山康晴1989-08-25竜王戦準決勝|その1 羽生の目の付け所 急所の好手

1989-08-25第02期竜王戦本戦トーナメント準決勝

羽生善治五段」vs「大山康晴十五世名人」 

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羽生善治五段と大山十五世名人が竜王をめざす大一番で、双方力を発揮した名局だった。 △四間飛車棒銀の定跡形が出現し、そのあとどうなるのか興味深い将棋だった。 1図は△2六歩と悩ましい歩をたらしてきた局面。次の一手は「ここでか」と感心させられた。 

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▲9五歩

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羽生の目の付け所 ここで端歩 急所の好手

羽生将棋のことを「目の付け所が違う」と師匠二上達也九段が評したように記憶する。この将棋はそれをまざまざ感じた。

1図で私などは飛車角をどうさばこうかと右辺ばかり見てしまうが、羽生さんは思わぬところに着手した。 ▲9五歩を見て「ここで端歩か」と感嘆した。 美濃囲いに対し桂馬と歩を持ったとき端歩突きは手筋とはいえ、早すぎるように見える突っかけだった。

だがこの早い▲9五歩はやはり急所の好手で、大山名人を大いに苦しめた。

2図以下実戦は、△3六歩▲9四歩△9二歩と進んだ。そのあと羽生さんに好サバキがあって先手優勢となった。 2図で9五同歩と取ると、9三歩、同香、8六桂、8五銀とすすむのだろうが、大山名人はこれを嫌った。しかし先手が端歩を詰めたのは大きく、やはり取るのが正着で難解な勝負だった。

大山名人にすれば味が悪くて取り切れなかったのだろう。 2図▲9五歩は勝利への第一歩となった好手だった。2図を見るたびに「目の付け所が違うなあ」と思う。 私にとって味わい深いハイライト局面だ。