将棋棋士名言|羽生善治「楽観はしない。 ましてや悲観もしない。 ひたすら平常心で。」
「楽観はしない。ましてや悲観もしない。ひたすら平常心で。」
これはすごく羽生さんらしいなーと感じる言葉。
羽生さんはいつも飄々としている。勝っても負けても飄々としている。
一局の将棋だけでなく、人生そのものが「ひたすら平常心」なのだ。
たいがいの人間はずっと平常心ではいられない。
心が乱れ、落胆、動揺、憂鬱、自暴自棄・・・なんてことに。
おだやかだが、恐ろしいほどの精神力を感じることば。
そうあるべきなんだろうけど「ひたすら平常心」を続けることは難しい。
将棋局面|羽生善治ー郷田真隆2016/02/16王将戦第4局|郷田、圧巻の寄せ
2016/02/16第65期王将戦七番勝負 第4局
△8七歩に▲9七玉と逃げたところ。
後手郷田王将は読み切っていた。
△8五桂▲同歩△7五角▲8六銀△7八角成▲同金△8六角▲8七玉△7七金打
郷田、圧巻の寄せ
私には全く寄せがみえなかった。実戦形詰将棋みたいに狭いのに・・・。
9五歩だと寄らない。△8五桂が「ひええ」の桂捨て。▲同歩の瞬間後手玉が詰めろになっているという危険スレスレの寄せ。
△7五角が合駒を使わせる肝心な王手。うっかり7八角成だと3一銀、1二玉、2四桂、同歩、2二飛で詰んじゃう。合駒を使わせれば詰まない。
▲8七玉が最後の抵抗だが△7七金打! 気が付きにくい金打ちで、これで先手玉は詰む。以下▲同桂△同角成▲同金△7五桂まで後手勝ちとなった。
1図の少し前、後手飛車斬りから郷田さんの素晴らしい寄せだった。超一流の圧巻の寄せだった。
将棋局面|渡辺明vs佐藤天彦2016年2月11日棋王戦1局|渡辺、高速の寄せ
2016年2月11日 第41期棋王戦五番勝負 第1局
渡辺明棋王 対 佐藤天彦八段
角換り腰掛銀で、後手渡辺棋王に△7三角の新手がでた将棋。渡辺棋王がうまく攻める展開にして終始ペースをつかんでいた。
ここで後手に決め手の好手がでた。
△4三角
渡辺、高速の寄せ
△4三角の自陣角が好手で決め手。飛車取りで、遠く7六の銀をにらんでいるのがすぐわかるから、「あっ、そうか! いい手だなあ」と納得である。
理解するのに時間はかからないが、私にはまったく見えなかった。そういう手ってあるよねえー。
2図以下▲3四歩△4五金▲同銀△7六角▲4四銀△8七歩成まで、あっという間に終局。角が銀を取る味がたまらない。
渡辺将棋は谷川将棋に似ているといわれるが、谷川さんのような”高速の寄せ”だった。
将棋局面|佐藤康光 vs 久保利明2009-02-08棋王戦1局|久保、見事な小駒の寄せ
2009年2月8日第34期棋王戦 五番勝負 第1局
△ゴキゲン中飛車から2枚角を斬る進行となる。△7五桂に6九の金を▲5八金と上がった局面。
大駒の無い後手がどう攻めをつなぐかという局面だった。
△3九銀▲1八飛△5七歩▲同金寄△8七桂成▲6九玉△7七銀成
久保、見事な小駒の寄せ
△3九銀が妙手。居飛車側からすると見落としやすい手だ。この手で広そうな先手玉が急に狭く見えてきた。
さらに△5七歩がそつのない利かしで好手。△7七銀成もよい取り方。こうなって見ると、後手からは2六桂、2七銀、2九銀、6五桂などたくさんのねらいがあって、先手収集困難になっている。大駒の捕獲をねらいに、小駒ばかりで見事な寄せだった。
この後もうまく指して後手久保快勝となった。
このシリーズは久保さんがフルセットの末、初タイトル棋王を獲得した。この頃は久保さんの絶頂期で、この将棋は会心譜だった。
将棋局面|大内延介 vs 升田幸三 1975-02-03 順位戦|積極的な升田将棋
1975-02-03 第29期順位戦A級
*「大内延介八段」vs「升田幸三九段」
双方銀冠で手詰まりになりやすい戦型。
升田九段らしい手がでた。
△1三桂
積極的な升田将棋
升田将棋はとにかく積極的で自分から技をかけにゆく。手詰まりぎみの局面でも思い切った手が出る。△1三桂のような端桂はしばしば見た。
△1三桂はただ2五の歩をパクろうという手ではなかった。7七桂なら5六歩、同銀、5五歩、4七銀(同銀なら2五桂、2八角、5四歩)、6五歩と攻めかかるという。
実戦は2図以下▲5五歩△同 飛▲5六銀△5一飛 ▲5五歩 △2五桂 ▲2八角 △2四角・・・と局面がほぐれた。
結果は後手升田勝ち。
△1三桂ですぐ形勢がどうという手ではないが、脳裏に残る手。
将棋局面|大内延之vs花村元司1983-01-24王座戦|こんな攻めでいいのか 花村の奇策
1983-01-24 第31期王座戦二次予選
大内先生が▲矢倉中飛車模様から▲4五歩と仕掛けた将棋。花村先生が早々から銀桂交換の駒損となり、「これでいいのか」と思わせた。
後手はどこから攻めてゆくか。
△7四歩▲同銀△8四桂
こんな攻めでいいのか 花村の奇策
銀をずらして飛車先に桂を打つ。あまり見ない攻め。こんな攻めでいいのかと思わせた。
花村先生というと、たいがいこんな奇策で戦っていた。細い攻めをつなげる天才棋士だった。 この将棋も、ちょいちょいと攻め続けて後手勝ち。
花村元司九段の将棋は、序盤はいい加減で中終盤勝負という印象だった。 たしかこの将棋は、花村先生が将棋世界に自戦記を書いたと記憶している。