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将棋局面|佐藤天彦-渡辺明2016年3月6日棋王戦第3局|渡辺の素晴らしい大局観

2016年3月6日 第41期棋王戦五番勝負 第3局
佐藤天彦八段 対  渡辺明棋王

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▲2一飛成と桂馬を取ったところ。

後手は飛車が取れるが・・・。

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△8三銀打 

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渡辺の素晴らしい大局観 飛車損でも後手良し

 2図から数手後、田中寅彦九段が「△8三銀打で(先手が)悪いってことがあるんですかね。あるわけないですよね、絶対何か寄せがあったはずなんですよ」とぼやいていたという。

そのぼやきはよくわかる。後手は桂馬を取られて飛車損のうえに戦力ダウンの銀打ちである。

しかしよく見ると、後手はと金が2枚で飛車取りが残る。穴熊同士でも後手の穴熊の方が全然厚い。渡辺さんのことだから、8四桂の防ぎで(2八とは8四桂で先手勝ち筋)仕方なく銀を打ったというより、「飛車損でも後手良し」と自信を持って銀を打ったのではないか。渡辺さんの大局観は素晴らしかった。

2図から▲2九飛△5六角▲6三歩△6七と・・・大激戦が続き、170手で後手渡辺勝ち。

追記:渡辺棋王が敵の土俵にのらず、意表の「ゴキゲン中飛車」で相穴熊戦にしたのが秀逸でした。