将棋局面|大山康晴 vs 米長邦雄 1982-10-24 名将戦|一連の勝負手 囲碁の感覚を取り込んだ米長将棋
1982/10/24 第09回名将戦本戦3回戦*
バシッと▲5七飛打と打った局面。
二枚飛車がたてに並ぶ大山流の好手で、大山ペースだが・・・。
△4六歩▲同 銀、 同 角、同 飛、6七角成、 同 飛、5五金打 ▲8六飛△5六銀
一連の勝負手で厚みを主張 囲碁の感覚を取り込んだ米長将棋
△4六歩から米長さんは角2枚斬ってしまった。大駒は無くなって、中央に金銀の柱ができて、持ち駒は歩だけ。最初見たときはこんなのでいいのかと思った。
米長さんは名著「逆転のテクニック」で、不利な時は「相手より勝っているものを見つけ、長所を伸ばす」と述べている。
2図に至り、米長さんが中央に金銀の柱を構築した手順が一連の勝負手で、厚みを主張したのであった。逆に先手の厚みは消えてしまい、急に玉が薄くなった。まだ先手有利だが、この厚みが大山十五世の心理に影響したと思われ、のちに失着がでて逆転し、後手米長勝ちとなった。
米長さんはたびたび厚み、厚みと主張されている。囲碁の本まで書いた米長さんであるが、碁でとかく言われるのが厚みである。米長将棋はこうした囲碁で養った感覚をうまく将棋に取り込んでいたようだ。