将棋局面|米長邦雄vsボンクラーズ2012-01-14将棋電王戦|コンピュータがプロ棋士に勝利
2012年 1月14日第1回将棋電王戦 米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ
後手の米長先生が、角落ちの上手のような指し方をしたのはコンピュータ対策だった。ここから先手ボンクラーズが巧みに指す。
▲6六歩△同歩▲同角△6五歩▲5七角△3四歩▲6六歩
高等な駒の組換え コンピュータがプロ棋士に勝利
2012年に米長邦雄先生が、本格的にプロ棋士対コンピュータの門戸を開いた。 将棋連盟会長という立場で、自らがコンピュータと戦うという思い切った決断であった。
1図まで、米長先生の「厚み作戦」ともいえる指し方はうまくいっていたようだ。ずっと角道を開けないのが面白かった。 ここ数手がハイライト。ボンクラーズが▲6六歩と合わせ△同歩▲同角△6五歩▲5七角としたのは巧妙。 これは高等な「駒の組み換え」だった。コンピュータの高度な技術を見た。
ふらっと指した△3四歩が敗着の大悪手だったと思う。
再び▲6六歩(2図)が好手。 同歩、同角に角交換できず4四歩としたが、7六歩の合わせが好手で米長先生の厚みは壊され、コンピュータ・ボンクラーズの快勝となった。
引退棋士ながら、プロ棋士に勝ったということで、大きく報じられた。 この年の12月に、米長先生が亡くなったのは衝撃であった。現役の将棋連盟会長のまま、癌で亡くなったのだった。 人生最後の大勝負が、コンピュータとの対局で大きく報道されるとは、いかにも華のある米長先生らしかった。 人生の終局近しと見た米長先生ならではの”形作り”だったのだろうか。