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将棋|渡辺明vs森内俊之2013-11-7竜王戦3局|渡辺、驚愕の手順

2013年11月7日~8日第26期竜王戦七番勝負第3局 渡辺明竜王 対 森内俊之名人 棋譜 

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渡辺明竜王がこのシリーズ初勝利を挙げた棋譜から。 矢倉模様から△5五歩交換戦法の将棋。 角交換から先手▲8二角と打ち込んで1図。このあと数手、目を疑う手順だった。

 

△2二玉▲9一角成△4二金上▲6八玉△1四歩 

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渡辺、驚愕の手順

なんと、先手が香車を取って馬を作っているあいだに、後手は玉を囲って端歩を突く。 先手だけひと仕事して、後手はせっせと自陣整備をしているだけ。 驚愕の手順だった。 だがこれは立派な手法だった。 △1四歩で後手は戦闘準備完了である。こう固めて、あとは思い切り行こうというものだった。 横歩取りで8二角と打たせる指し方があるが、それはその間に攻撃しようというものだから少し違う。 途中先手の▲6八玉は苦心の一手。先手は7九玉というわけにはいかなかったようだ。

前例の名人戦3局▲森内△羽生戦では、1図以下△8六歩の突き捨てのあと△4九角と打ち、そのあと△2二玉~4二金上と自陣を整備する展開になった。本譜渡辺竜王の順はこれにヒントを得たのかもしれない。 結果は先手快勝となった。

渡辺竜王の指し手は、実に未来的な手法だった。 これからこういう指し方は時たま見られるようになるかもしれない。