将棋局面|大山康晴vs中原誠1980-09-25王座戦1局|大山流の駒さばき
1980-09-25第28回王座戦三番勝負第1局「大山康晴王将」vs「中原誠王座・名人」
大山康晴王将が挑戦した準タイトル王座戦で、本局は芸術を見るような駒さばきだった。 ▲向い飛車△左美濃の持久戦から、中飛車に転じて中央を制した。 1図は△3六歩と伸ばされ玉頭が嫌味の先手だが、ここから3手ひと組が素晴らしかった。
▲7八角△2二玉▲5九角
大山流の駒さばき 二枚角
▲7八角と王手で自陣角を打つ。王手で8七の地点を守って、スッと▲5九角と金取りに角を引く。なるほど、遊び駒で質駒の角が使えていっぺんに先手の駒が生き生きしてきた。
大山流の駒さばきには何度も感心させられたが、これなども芸術を見るようである。 金取りに角を引いたのは、玉頭のいやみの緩和をはかったもの。いわゆる「敵の攻め駒を攻める」という手法だ。
その後は6八に角が上がり二枚角が並んで敵陣をにらみ、先手快勝となった。 大山康晴先生の将棋は、角の使い方が攻守に巧みである。