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将棋局面|大山康晴vs森けい二順位戦A級1982-09-22|大山マジックでサヨナラ勝ち

1982-09-22第41期順位戦A級02回戦

大山康晴王将」vs「森けい二棋聖」 

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大山康晴王将がずっと苦戦で最後に逆転した一局。 △中飛車で▲銀冠の将棋。千日手模様で、先手が打開したが後手がうまくさばいて優勢になった。 1図は先手の負けと思われたが。 

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▲9六銀△7八成桂▲9七玉△8九成桂▲8五桂 まで先手の勝ち

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大山マジックでサヨナラ勝ち

▲9六銀と退路をつくり、△7八成桂に▲9七玉と逃げる。 そこで詰めろの△8九成桂が大悪手。大山王将が▲8五桂と跳ねると森棋聖投了となった。 投了図▲8五桂は馬を利かした詰めろ逃れの詰めろで、後手に有効な手は無い。

まるで、勝ち目前の大失投でサヨナラホームランのような結末だった。△8九成桂では、8八成桂と寄っていれば、9八金で詰むから後手勝ちだった。 大山王将はずっと以前からこの「サヨナラ勝ち」を想定して、投了図に誘導したと思われる。△8九成桂はついつい指したくなる手だ。

後年羽生さんの逆転勝ちが“羽生マジック”と言われるが、“大山マジック”も数々あった。本局はそのひとつと言えよう。 確か本局は、「将棋世界」の河口さんの観戦記にあったと思う。大逆転負けの森棋聖は投了後「待っただよう」と悔しがっていたという記事が記憶にある。